[社会・文化] 第4回グローバルメンタルヘルスセミナー開催~人工知能時代のストレスケアと脳教育

「第4回グローバルメンタルヘルスセミナー~人工知能がもたらす社会変革時代に求められるメンタルヘルスとは?脳教育が人間力を高め未来を切り開く」(主催・特定非営利活動法人IBREA JAPAN)が8月5日、京都大学百周年時計台記念館百周年記念ホールで開催されました。教育関係者や一般市民が参加し、500席が満席となりました。

本セミナーは、人工知能時代に求められる創造的な思考・行動を促す方法として注目される脳教育や、腸と脳のつながり(腸脳相関)をふまえたストレスケアがテーマ。第1部「メンタルヘルスと教育」では、まず、グローバルサイバー大学の蔣來赫(ジャン・レヒョク)教授が「人工知能VS自然知能~人間の脳の特別さを目覚めさせる~」と題して講演しました。

脳教育が専門のジャン教授は、人工知能時代においては「人体で唯一精神性を備えている臓器である“脳”を理解し、正しく活用することがとても重要」だと指摘。人間の脳ならではの機能として、自分の過去を省みて、現在の自分を自覚する「省察」(せいさつ)と、未来を自ら切り拓く「創造」を紹介し、この二つを強めることが、幸福や健康につながると強調しました。

脳を活性化するためには「意識の集中」が必要だとしたうえで、具体例の一つとして瞑想を紹介。会場にある脳波の測定器を使って、脳教育のブレイン瞑想によって脳波が変化していく様子を披露しました。

「パソコンはいくらソフトをうまく使ってもハードは変化しないが、脳は使い方によって脳のハードも変化する」として、人工知能にはない脳の可塑性(かそせい)を取り上げ、人間が持つ「自然知能」の無限の可能性を強調しました。

続いて、日本ベンジャミン人間性英才学校の品川玲子校長が、「地球市民を育てる脳教育の教育革新モデル」をテーマに、脳教育を全面的に取り入れたオルタナティブスクールとして注目されている同校の取り組みを紹介しました。日本のみならず、韓国、米国、中国に広がっているベンジャミン人間性英才学校は、英語などの特定の分野の英才をつくるのではなく、人間性のすぐれたグローバルな人材を育てることを目的に設立されました。

品川校長は、「カリキュラムは、基礎教育、自己啓発、夢さがし、グローバルリーダーシップの4つにわけられる」など、同校の特徴や理念を解説。昨年入学した1期生たちが自ら立案し、実現させた「地球市民青少年サミット」などの様々なイベントや国際的活動を紹介し、「いろいろな壁を乗り越え、楽しい時間を過ごすことができた。そしてみんなひとつ、We are One! We are EARTH CITIZENS!を訴えることができた」と話しました。

日本ベンジャミン人間性英才学校の生徒3人もスピーチを行い、入学してからの変化や自らの夢について語りました。

セミナーの第2部は、「メンタルヘルスと健康」をテーマに、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授の特別講演「幸せな脳は腸がつくる~腸脳相関の秘訣~」と、3人のブレイントレーナーによる事例発表「脳教育トレーニングの効果」が行われました。

藤田紘一郎名誉教授は、「腸内環境を整えれば、ガン、アトピーばかりじゃなく、うつ、脳梗塞、自閉症、認知症、多くの病気が治る」とし、腸内環境を整える方法は「腸内細菌を増やす、活性酸素を消す、ストレスを取り除く、おなかを温める」として話が進められました。

また、人間の体には、子作りエンジンの「解糖エンジン」と長生きエンジンの「ミトコンドリアエンジン」という2つのエンジンがあると説明。「ミトコンドリアエンジンは37度以上で活発化する。ミトコンドリアが体の中で一番多いのは腸。腸を大事にするには、おなかを温めなくちゃいけない」「おへそのあたりでゆっくり呼吸を回すとミトコンドリアエンジンが動く」とし、「おへそを意識してゆっくり呼吸する、体を温める、丹田たたきをする」ことが役立つと紹介しました。そして、へそヒーリングをすると「腸、小腸を中心として刺激が伝わる。しかも熱が出てくる。熱が出てくるということは、おなかが温まり、ミトコンドリアエンジンが動く」とし、「腸をよくすると、心も体も元気になる」と述べました。

最後に、「125歳まで生きる」ということに言及しました。「遺伝子で決まるのはたった5%。腸がよければ遺伝子も変わる。これをエピジェネティクスという」と説明し、細胞の中にあるテロメアというものが短くなると死ぬので、色のついた野菜、果物、植物繊維の多い食品を摂り、添加物が入っていない手作りの食事で免疫を高め、「今日からテロメアを短くしないような生活を送っていただきたい」と呼びかけました。

ブレイントレーナーによる事例発表では、安井義博氏の「へそへの刺激が中高年者の気分に与える影響」、高橋尚美氏の「こども、障害者福祉施設への脳教育導入事例」、川崎幸子氏の「IT企業のメンタルヘルスケア ~脳教育プログラム適用事例~」が発表されました。

また、この日セミナー会場では、IBREA JAPANと韓国のブレイントレーナー協会の協約が行われました。両機関が日韓の脳教育の交流と発展のために協力することに合意。脳教育の発展を通して人間の脳の根本価値を向上させることを目指すとしています。