国際脳教育学会(学会長 李承憲、International Research Association for Brain Education ; IRABE)は3月29日、韓国・ソウルのイルチアートホールにて「学会設立式及び脳教育未来フォーラム」を開催し、教育関係者や学会員など約300名が参加した。
今回の行事は、脳教育未来フォーラムを皮切りに学会の本格的な活動を知らせるために行われた。フォーラムは現代教育のパラダイムの変化と未来教育において新たな教育の方向を模索し、世界で未来教育の代案として関心を集めている脳教育の現在と未来をかんがみる場として企画された。
フォーラムは「地球経営、脳教育、教育の未来」をテーマに、李承憲国際脳教育学会長(グローバルサイバー大学学長)の開会の辞に始まり、
チャ・ユンギョン漢陽大学師範大学長とチェ・セファン静脈注射学会長の祝辞と続いた。
李承憲会長は開会の辞で「人間と人工知能の囲碁対決への世界的な関心とこれを取り巻く議論に考えさせられる点が多かった。しかし、人工知能を作ったのは人間の脳の創造性だ。『地球』と『平和』を脳の中心価値とする1億の地球市民の誕生と連帯が、平和技術である脳教育の目指す未来だ。国際脳教育学会は、脳教育が人類の意識と文明に大きな変化をもたらすという確信と信念でこの道を歩んでいくものであり、皆さんもその道を共にしてくださることを願っている」と述べた。
チャ・ユンギョン漢陽大学師範大学学長は「2015年にKOICA協力プログラムを通して脳教育が中南米のエルサルバドルで驚くような効果を収めたという話を聞いた。東洋の心身修練法をもとに人間の脳を開発し活用する脳教育は、今の時代を生きていく私たちに欠かせない手段だと言える。今日の国際脳教育協会設立フォーラムは、その重要性を伝える始まりだと思う」と祝辞を送った。
続いて、チェ・セファン静脈注射学会長は「今回のフォーラムのスローガンである『地球経営、脳教育、教育の未来』という単語に脳教育の価値がよく現れているように思う。これからは学問が象牙の塔にこもって(学者などが世間から離れて研究室にこもること)いてはいけない時代だ。このような観点から学問であり生活でもある脳教育を行う国際脳教育学会が設立されたというのはとても意味深い」と述べた。
セクション別の発表は、李承憲学会長の基調講演に始まり、「体と心、そして脳波振動(カン・ドヒョン ソウル大学医科大学教授)」「脳の声、脳波が伝える話(チェ・ジョンミ LAXTHA技術研究所長)」「脳波調節技術、脳教育(ノ・ヒョンチョル韓国脳科学研究院専任研究員)」「脳教育が米国教育の質を高める(デイブ・ビル 米国脳教育協会理事)」と発表が続いた。
カン・ドヒョン教授は「脳波振動瞑想法の研究は2007年以降、国際学術誌に何度も掲載している」とし、「とても簡単で効果的なところが最大の特徴」と述べた。また「脳の構造や機能の面でも、脳細胞が増加し細胞間の機能的な連結性も高まることが明らかになった。ストレス対処能力、集中力、感情コントロールにも効果的だ」と発表した。
株式会社LAXTHAの技術研究所長であるチェ・ジョンミ博士は「脳の声、脳波が伝える話」をテーマに発表した。チェ所長は「脳波は電気信号の測定によって脳をうかがいしることであり、死亡や脳死状態を除いて人間は生きていれば常に脳波が動いている」と述べた。また「脳波は現在の脳の状態を知ることのできる良いツール」とし、最近は認知症や老化などの診断に広く活用されていると伝えた。
ノ・ヒョンチョル韓国脳科学研究院専任研究員は「脳教育による脳波変化の効果 検証と事例」を発表した。無気力な14歳の生徒が脳教育を行った結果、意欲、集中力、ストレス管理能力に効果的だったという。
▲韓国脳科学研究院のノ・ヒョンチョル専任研究員がマグネティックメディテーションによる脳波調節を行った
米国脳教育協会のデイブ・ビル(Dave Beal)理事は「脳教育が米国教育の質を高める」をテーマに脳教育がニューヨークの学校で子供たちの心理や情緒の安定に大きな効果を見せたと発表した。
続いてビル理事は「ニューヨークのブロンクス7学区内の問題のある生徒180名を対象に8週間の脳教育テストプロジェクトを実施した結果、生徒たちの行動障害や友達付き合いにおける問題が約50%減少し、情緒的な問題が約75%減少したと明らかにした。ニューヨークの公教育は脳教育プログラムにとても大きな期待をかけている」と述べた。
今回のフォーラムは、韓国脳科学研究院、ブレイントレーナー協会、国際脳教育協会、グローバルサイバー大学が共同主催し、国際脳教育学会、国際脳教育総合大学院大学が主管した。
国際脳教育学会は、人間の無限の潜在能力の開発を目的とし、脳活用の原理と方法の探求によって個人と社会をより健康・幸せにし、平和な世界の実現に寄与するために設立された。
今後、国際脳教育学会は年齢別、産業別の国際脳教育研究を進めていく。研究結果は学術大会、フォーラム、学術誌などに発表し、国際的な交流のための国際脳教育ネットワークを構築していく計画だ。