名古屋市は12日、市立小・中学校で学年の枠や共通の時間割を廃止した授業形態の研究などを始めると発表した。画一的な教育からの転換を目指し、子どもに自主的な考え方を身につけてもらうのが狙い。相次ぐ子どもの自殺を防ぐ効果も期待する。2019年度一般会計当初予算案に事業費として約1億600万円を盛り込んだ。
オランダで普及する教育方法「イエナプラン」などを参考にする。同プランは異なる学年の子どもが同じ教室で輪になり対話するほか、各自の成長に合わせた個別学習などが特徴だ。4月には国内初の導入例とされる私立小学校が長野県佐久穂町に開校予定。ただし公立校にそのまま導入するのは仕組み上難しいという。
市は来年度、モデル校とする小学校1校でタブレット端末160台を配布し、児童がそれぞれの理解度や関心に応じた課題に取り組む時間を授業中に設ける。約10人の専門チームを作り、オランダなどの視察も進める。
このほか、いじめや虐待など子どもの権利が侵害された疑いのある事案について、弁護士や大学教授ら第三者委員が相談に応じ、必要な調査や是正勧告をする専門機関を20年1月にも設置する。市教委から独立した市長直属の組織とし、予算案に設置費用7300万円を計上した。
河村たかし市長は「子どもを一人も死なせない社会をつくるため、投資は惜しまない」と述べた。予算案は19日開会予定の市議会2月定例会に提出する。