[地球・環境]2019年「スポーツと社会貢献」キーワード

今年からゴールデンスポーツイヤーズが始まるが、昨今「スポーツの力で社会を変える」活動への関心の高まりとともに、「スポーツの社会的責任(SSR)」や「スポーツとサステナビリティ」に関連した問い合わせや講演依頼も増えてきた。

世界でも、昨年は特に、地球温暖化防止やプラスティック問題などの環境分野への貢献において、スポーツ業界の躍進が目立った。IOCも国連の会議でサステナビリティへのコミットメントを公言し、今後世界のスポーツ界が本格的なアクションに取り組んでいくことになる。

そして、世界プロリーグの社会的責任・コミュニティ活動も社会の変化とともに対応し、様々な変化が起こっている。この変化は、ここ数年でその加速度を増してきていて、プロスポーツチームやリーグにとって「社会的なコミットメント」は必須事項となり、従来のスポーツ教室を実施する程度の社会貢献マインドだけでは認められない時代になってきた。

 

地域と社会への「責任」を果たすことに「コミット」しているか

これからの時代、プロスポーツとして、地域や社会でも存在意義を高め、信頼されるために必要なこと、それは世界的な視野をもって、事業を営む地域への「責任を果たす」こと

そしてそれを「コミット(公言)」することである。

昨年末には、「世界で最も責任あるプロサッカーリーグ」が発表され、MLS(米国プロサッカーリーグ)がトップにランクインしたが(Jリーグは6位)、今後プロスポーツリーグの評価指標として、戦績以外のSR視点がますます重視されてくるだろう。

ちなみに、MLSは米国メジャーリーグの中でも歴史が浅いが、少し調べてみたところ、数年前に比べて、かなり質の高いプログラム・デザインをしている。シンプルだが的を射たいくつかのプロジェクトやプログラムで構成され、全体としてわかりやすく、コミュニテイへの思いとメッセージが伝わりやすい。

また、昨年 Sport For Smile がFIFAの公式NGOパートナーから助成を受けてW杯連動企画として実施した若者支援プロジェクト表彰フォーラムにおいて、UEFA(欧州サッカー連盟)のSR責任者が、「我々は伝統的なフィランソロピーを実施してるのではない」とコメントし、社会的責任を果たすことの重要性を強調していたのも印象的だった。

 

「社会課題の解決」を超えて

SDGs(持続可能な開発目標)が始動して4年目の今年、「スポーツx社会貢献」のキーワードとして筆者がまず提起するのは、「レスポンシブル(責任ある事業運営)」と「コミットメント」だ。特にここ数年、グローバルスポーツ界のトップや幹部からこれらの言葉を聞く機会が格段に増えた。

日本では、「社会課題の解決」という言葉を頻繁に見聞きするが、それもスポーツの社会的責任の一部ではあるものの、地方創生や高齢化など経済課題のみならず、「スポーツの力」をより効果的な方法で活用し、より良い社会・コミュニティづくりに貢献し、そして各スポーツチームのブランディング、存在意義の強化につなげていっていただきたい。

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