[健康]週末の「寝だめ」は逆効果? 健康への悪影響指摘 米研究

平日にたまった疲れを解消しようと週末に寝だめすると、体重が増えて長期的には健康に悪影響を及ぼす可能性がある――。そんな研究結果がこのほど学術誌に発表された。

論文を発表したコロラド大学睡眠研究所のケネス・ライト所長は、「平日に続いた睡眠不足を週末の寝だめで補おうとしても、平日になってまた睡眠不足が続けば、体内で血糖値をうまくコントロールできない状態は改善されない」と解説し、「再び睡眠不足の生活に戻れば、長期的な健康に悪影響を及ぼしかねない」と指摘する。

米睡眠医学会が勧める夜間の睡眠時間は成人で1日当たり最低でも7時間。子どもの場合はそれ以上の睡眠を必要とする。

研究チームは健康な若い男女36人を3グループに分け、第1グループには1日9時間の夜間睡眠を、第2グループに1日5時間の夜間睡眠をとってもらった。一方、第3グループは月曜~金曜までの夜間睡眠を5時間にとどめ、週末は好きなだけ寝る生活をそれぞれ10日間続けてもらった。第3グループは日曜夜はできるだけ早い時間に就寝し、月曜からはまた1日5時間の睡眠に戻った。

その結果、睡眠不足の第2グループと第3グループは夕食後に軽食を食べる量が増え、10日間の間に体重が増えていた。この傾向は女性より男性の方が顕著で、睡眠不足の男性は平均で2.8%、女性は1.1%体重が増加。一方、週末に寝だめした男性は体重が3%増えたのに対し、女性は0.05%増にとどまった。

週末に寝だめした第3グループは、筋肉と肝臓に対するインスリンの感度が高まることも分かった。これは第2グループには見られない傾向だった。筋肉と肝臓は、食後の血糖値上昇に大きくかかわっている。

「睡眠が足りないと糖尿病などのリスクが高まる理由はこれで説明できる」「睡眠不足が続くと血糖値の調整ができなくなり、長期的な代謝性疾患のリスクが増大する」とライト氏は解説する。

第3グループの方が大きな影響を受けるのは、体内時計が変調して特定のホルモンが不足することにも一因がある。

今回の研究では、週末に寝だめできるのは男性に限られるらしいことも分かった。男性は金曜と土曜の夜に長時間の睡眠を確保できていた一方、女性が長時間眠れたのは金曜の夜だけだった。

ライト氏は、女性には男性とは違った睡眠不足の影響があるのかどうかについて、さらに研究する必要があると指摘している。