カルスト台地平尾台(小倉南区など)の急勾配の坂を、家庭用自転車のママチャリで上り続けるお年寄りがいる。小倉南区徳吉の坪井恒治さん(75)だ。健康のため、30代後半から毎月銀輪をこぎ続ける。雄大な自然への感謝も込め、帰路はごみ拾いを欠かさない。坪井さんの「登坂」は、記録をとり始めた63歳から今月で2600回になった。
3月の晴れた日、市内を一望できる平尾台までの急坂で、ペダルをこぐ坪井さんの姿があった。自転車かごには、2キロのダンベルとゴミ袋。自宅から目標の自然公園「平尾台自然の郷」(標高約400メートル)まで1時間10分で上りきった。平尾台自然観察センターによると、平尾台入り口にある吹上峠の標高は379メートル。麓からは28のカーブがあり、距離は約10キロに及ぶ。
坪井さんは会社員時代、平尾台をママチャリで上り始めた。最初は15番目のカーブで足が止まって上りきれなかった。今は「若いころよりも体力がある」と笑う。当日のタイムや天気などの記録をとり始めたのは、2006年3月末からで63歳のとき。それから数えると、今乗る自転車は21台目になった。
「何度見ても飽きない」という平尾台の青空が好きな坪井さん。いつしか、下の道ばたにも目が向くようになった。空き缶やタバコの吸い殻…。「あまりにも汚い」。帰路はごみを拾いながら坂を下る。
苦しい挑戦やごみ拾いを、高齢になっても続ける理由は何?。坪井さんは話す。「平尾台のおかげで、今も健康。自然にありがとう。自然を守ってくれる人にありがとうという気持ちです」
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