ストレスはもともと、ラテン語から派生した言葉で、「抑圧、困難」などを意味しているといいます。20世紀のカナダの生理学者ハンス・セリエは、外界から加えられた刺激に対して人間が起こす適応反応を「ストレス」と呼び、外界からの刺激は、ストレスを起こすものという意味から、ストレッサーと呼びました。
21世紀を生きる私たちにとって、日々のストレスはますます大きな問題になっています。では、どうすればストレスに上手に対処できるのでしょうか。有名な「孫子の兵法」では、「勝利のためにはまず、敵をよく知ること」だと説かれています。これは、ストレスについても同じことが言えます。ストレスが生まれるメカニズムを知ってしまえば、過度に恐れたり、逃げ出したりすることもなくなるはずです。
職場にとても怒りっぽい上司がいたとしましょう。この上司が自分の席に近づいてくると、全身に緊張が走り、心臓がドキドキしてくるでしょう。こうした状態がストレス反応です。上司の存在はストレッサーになります。
この反応の結果、心臓に血液がどんどん送り込まれ、体にエネルギーが満ちてきます。このエネルギーによって、上司が自分に怒鳴りかかってきたときに備えることができます。これが原始時代であれば、人間に襲いかかるような野生動物がストレッサーだったかもしれません。つまり、ストレス反応によって、危機から逃れる行動を起こす準備ができるのであり、ある意味、生きていくうえに欠かせないエネルギーだということもできます。
そう考えると、ストレスはいい意味での緊張感を生むための材料だとも言えます。ストレスを活用するという視点を持ちたいものです。