[コラム] 国民の手で設計する政治の未来

コロナ時代、様々な国でインターネット投票が行われたり、選挙にも変化が起こっています。世界が新たな文明時代に向かっている今、国の指導者を選ぶ選挙は、国の100年の未来を決める重大事です。どうすれば、真の省察の中で新たな価値を実現する未来時代のグローバル弘益政治を実現できるでしょうか?

 

常識ですが、どんな指導者を選ぶかは国民にかかっています。国民の意識レベルが国の指導者の意識レベルとも言えます。投票権のある人ならまず自分自身に一票を投じ、国の働き手になると宣言すべきです。国は誰のものでもない「私のもの」だからです。政治は自分の暮らしと密接な関係があり、政治文化を変えるには欲や権力中心に設計されている政治の構造を再編する必要があります。

 

私は、その答えを「弘益スピリット」に見つけました。国民の願う世界は、誰もが幸せで平和に暮らす福祉国家でしょう。弘益スピリットは、最も理想的な福祉国家を実現できる理念です。物質的な再分配や形式的な平等にとどまる物質文明時代の福祉は、与益者と受益者の人間的な尊厳性を守れません。弘益にもとづく福祉は、両者の自尊心と良心を守れます。これが今後やってくる精神文明時代の真の福祉大道であり、政治の目指すところです。

 

国民一人ひとりが弘益人間の人生を選択できる条件と環境は、人間性教育から始まります。競争ではなく共生の生き方を選択し、物質的な成功よりも精神的な完成を求め、心から分かち合うとき、世界は変わります。こうした弘益の価値が政治という大きな帆をかけると、変化はあっという間に起こります。

 

それならば、共にグローバル弘益政治を実現する指導者の条件はなんでしょうか?多くの人が指導者の資格条件に、正義、統合、清廉潔白、公正などを挙げます。時代が変わると、リーダーシップも変わります。私は、国の最高指導者が国家と人類に希望を与える大統領であることを願っています。私は、弘益大統領を望んでいます。

 

以前から考えていた最高指導者の5つの条件は、道徳性、歴史意識、哲学、ビジョン、統一観です。まず政治指導者の基本は、正直、誠実、責任感です。この3つが土台になってこそ、公の心をもてるのです。真の指導者は、自分の国と国民のためなら何になっても構わないという公の心と道徳性が優先されるべきです。

 

2つ目は、国民のアイデンティティと求心を正し、時代を読む歴史意識です。国民の力と誇りは歴史意識から生まれます。国民が自国の歴史を誇らしく思えば、自信や自負心が生まれます。国民のルーツとアイデンティティに明確な基準をもてない人は、大統領の資格がないと思っています。

 

3つ目は、世界平和に貢献する哲学です。国を率いる指導者には、世界平和のために国がどのように寄与するかという具体的な計画があるべきです。明るく強い精神が必要です。

 

4つ目は、国民に夢と希望を与えるビジョンです。ビジョンは人生の意味と方向性を示す羅針盤です。ビジョンは、私たちを成長させてくれます。これは個人だけでなく、国にも当てはまります。世界平和に対する切実な悩みとビジョンは、国家の指導者の必須要素です。

 

5つ目は、国民をひとつに束ね、ビジョンを実現する統一論です。統一は政治的な手段ではなく、国民の心と生活をつなぐ実質的な内容であることが望ましいでしょう。

 

民主主義とは言葉通り、民が主となった国民主権社会です。国民は創造者であり権力の神だということを忘れてはなりません。先日、人間が政治的な信念を変えられない理由を脳科学的に説明した記事を見ました。政治的な偏った考えや信念は、自分のアイデンティティを司る脳の感性的な部位を刺激し、これは宗教的な信念と似ているという内容でした。

 

しかし、理性の脳を作動させてみましょう。政治は自分の人生のための選択です。計画し、設計し、自分の手で創造できるもの。民主市民なら、この特権をより慎重かつ自由に活用すべきでしょう。政治は具体的な暮らしであって、宗教的な信念ではないのです。

一指李承憲(イルチ イ・スンホン)
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