[社会・文化] 韓国・グローバルサイバー大学がBTS6人の母校に。本年度卒業のグクに「学長賞」

韓国が生んだ世界的な音楽グループ「BTS」(防弾少年団)のメンバー、ジョングク(愛称:グク/JK、24歳)が3月、通信制の「グローバルサイバー大学」(韓国、学長:一指 李承憲/イルチ・イ・スンホン)を卒業しました。BTSメンバーでグローバルサイバー大学を卒業するのは6人目。これでメンバー7人全員が学位取得者となりました。

グループ最年少のジョングクは2017年にグローバルサイバー大学の放送芸能学科に入学。主にオンラインで授業を受講してきました。全米チャートで相次いで1位を獲るなど、BTSが音楽史に残る大成功を遂げ、世界ツアーなどの過密スケジュールに追われるなか、ひたむきに学業に励みました。

動画メッセージ
こうした勤勉な姿勢が評価され、卒業にあたって一指 李承憲学長からジョングクに「学長賞」を授与されました。同大学内では最高の栄誉とされる賞で、2021年には同じくBTSメンバーのジミン(26歳)とV(ヴィ、愛称:テテ、26歳)の2人が受賞しています。

3月1日に大学の文化ホール(一指アートホール)で行われた学位授与式では、ジョングクが感謝を込めた動画メッセージを大学に寄せ、「夢と目標に向けて熱心に励むことを願っています」と後輩らにエールを送りました。

デビューした2013年にシュガが入学
これにより、グループ結成前に別の大学に入学していた最年長のジン(29歳)を除く6人がグローバルサイバー大学出身者となりました。

デビューした2013年にSUGA(シュガ/29歳)が入学。翌年、RM(アールエム、愛称ナム、27歳)、J-HOPE(ジェイホープ/28歳)が後に続きました。2015年にはVとジミンが加わり、2017年に最年少のグクが入学。2022年春に晴れて全員が卒業しました。

必須科目「地球経営への招待」の影響
この間、BTSとグローバルサイバー大学は深いつながりを築いてきました。BTSがデビューする前日の2013年6月12日、大学の文化ホール「一指アートホール」で、BTS初のショーケース(発表会)が開催されました。

また、グローバルサイバー大学の独特な教育内容は、BTSの活動や成長に影響を与えたと言われています。同大学には、BTSが選択した放送芸能学科のほか、メディアコンテンツ創作学科、瞑想療法学科、カウンセリング心理学科などがありますが、全ての学科の生徒が最初に受講するのが必須科目「地球経営への招待」です。入学後に15週間ほど履修します。

国連スピーチ
この必須科目では、いまの地球が抱える課題を把握し、一個人や一国民といった枠を超えた立場でどう行動すべきかを学びます。いわば「地球市民」としての意識を育て、人類共通の問題の解決に向けて取り組むための基礎をつくるプログラムです。

BTSは2021年に国連本部でスピーチを行いましたが、そのときのテーマは地球環境やSDGs(持続可能な開発目標)でした。これに先立つ2018年の国連スピーチでも、世界の若者の機会平等などを訴えました。こうした弘益的な活動は、グローバルサイバー大学での教育が土台の一つになっていると見られています。

結成以来の「人間性」重視。そして脳教育
もう一つ見逃せないのが、人間性重視の姿勢です。そもそもBTS結成を主導した芸能事務所「Big Hitエンターテインメント」のパン・シヒョク代表は、活動開始前から人間性を最優先に掲げていました。7人のメンバーを人選する際も、音楽、ダンスなどの芸能的な才能やルックスよりも、人間性を重視したといいます。

メンバー6人の母校となったグローバルサイバー大学も、「人間性回復」という考えをとりいれ、人格を含めた人間としての総合的な成長に重きを置いています。地球や社会に貢献するため、自分の脳が持つ人間的な力を、自ら最大限に引き出す<脳教育>をベースにしています。

音楽業界で様々な壁にぶつかりながらも、決してあきらめることなく成長を続けたBTS。世界で頂点に立った後も決して謙虚さを失わず、ファンと真摯に向き合い、新しい価値を創造し続ける姿は、人間ならではの無限の脳力開発の鏡といえるでしょう。

メンバーが主体的に考え、行動
また、常にメンバー一人一人が主体的に考え、議論しながら行動していく姿勢も、従来の若きアイドルの殻を破った点だといわれています。こうした主体性も、やはりグローバルサイバー大学が推進する脳教育の方向性と共通しています。

李承憲学長の励まし
グローバルサイバー大学の創設者である脳教育者、一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)学長は、BTSがメジャーになる前の結成初期のころから、各メンバーに手紙を送るなどして激励してきました。また、李承憲学長の著書であり、必須講義「地球経営への招待」でも使われている『地球経営、弘益に答えを見いだす』を、メンバー一人一人に直接贈ったといいます。

さらに、初めてビルボードにチャートインして注目を浴びていた頃、これから世界に出て大変なことがあってもスピリットを失わずに健康にがんばってほしいという思いを込めて動画を送ったこともあるそうです。

李承憲学長は教え子であるBTSについて「結成初期の頃よりも時間が経つにつれて自由にやりたいことを自らやりながら大きく成長しました。型を破り、価値を高めることで、人間の脳の無限の潜在性を持続的に啓発してきたと見ることができます」と語っています。

「革新的な大学」と評価
グローバルサイバー大学では、人間の脳に潜在する才能を継続して引き出す原動力は、従来の教育で基準とされてきた「能力」ではなく、その土台となる「人間性」にあると考えています。そして、脳が描く創造的で平和的なビジョンを行動へと移していく実践型の教育により、BTSのようなグローバル人材を育成する取り組みを続けています。

こうした斬新な教育方針は、BTSの大成功に伴って海外でも注目を集めています。世界有数の高等教育機関の情報を提供し、累積訪問者が8600万人に達するイギリスの教育専門サイト「Study International」は、グローバルサイバー大学を「韓国で最も創意的で革新的な大学」として紹介。BTS以外のKポップのスターやその卵たちが次々と入学している現状をふまえ、「次世代BTSを育成する大学(The university where the next BTS is made)」と位置付けています。

日本語コースも準備中
また、グローバルサイバー大学は、様々な形で海外での授業開講や既存大学との提携を進めています。インドのヒンドゥスタン工科大学との単位互換を始めたほか、インドネシアなどの学生がグローバルサイバー大学の授業を履修して単位を取得できる仕組みもつくりました。

さらに世界12か国で開講を計画しており、日本でも日本語で受講できるコースを準備中です。

▶グローバルサイバー大学公式サイト
https://jap.global.ac.kr/home/homeIndex.do