「脳教育瞑想、血漿中の一酸化窒素/肯定的な感情の向上及びうつ・不安・ストレスの減少」
Comprehensive Psychiatry, 2015
ソウル大学病院、グローバルサイバー大学
酸化ストレスは、ストレス、老化、様々な疾病と関連がある(Liu 1999, Konishi 2009)。人間において酸化ストレスはアテローム性動脈硬化(Singh2006)、パーキンソン病(jenner2003)、心不全(Giordano2005)、アルツハイマー病(Zhu2004)、統合失調症(Andreazza2008)など、多くの疾病と関連している。心理的ストレスもまた酸化ストレスと関連がある。慢性的な軽度のストレスにさらされている実験用マウスは、脳のミトコンドリア部分で増加した酸化ストレスを示した(Lucca2009)。
瞑想トレーニングは、注意集中力を向上させ、肯定的な感情状態を向上させ、コントロールコンディションと比較してストレス減少を誘導する(Lutz 2008, Peterson 1992)。慢性的なストレスは心血管疾患の危険を増加させるが、ヨガや瞑想が血圧や心拍を有意に減少させるのに寄与すると知られており、冠動脈疾患のある患者の内皮依存性血管拡張を増加させることが示されてきた(Sivasankaran2006)。
心身トレーニングは、心理学的な変化とも関連がある。超越瞑想トレーニング後に血清脂質過酸化物のレベルが減り、ストレスレベルの減少が現れ(Schneider1998)、瞑想状態がドーパミンとメラトニンのレベルの増加、コルチゾールとノルエピネフリンのレベルの減少と関連していることが分かった(Esch2014)。
この研究は、脳教育の心身運動が心理的・内分泌的にどのような効果をもたらすか調べるためにデザインした。実験グループは脳教育瞑想に参加した54名(運動期間約4年)で、コントロールグループは瞑想をしたことのない58名で構成した。血漿中の一酸化窒素(NO)、活性酸素(ROS)、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)のレベルを測定し、ストレス反応尺度の変更形式(SRI-MF)、ポジティブ・ネガティブ感情尺度(PANAS)、ベックうつ病尺度(BDI)、ベック不安尺度(BAI)を測定した。
研究結果、脳教育瞑想グループは、より高い血漿中の一酸化窒素のレベルを示し、ROS及びSODのレベルはコントロールグループに比べて差はなかった。また、瞑想グループはコントロールグループに比べ、うつ、不安、ストレスレベルにおいて、より低い点数を示し、ポジティブ感情において高い点数を示した。瞑想被験者にのみ一酸化窒素レベルとポジティブ感情に関連があった。結論として、脳教育瞑想は、感情の状態を向上させることにより、休息と関連する因子である一酸化窒素レベルを増加させることが見られた。脳教育瞑想によって誘導されるポジティブ感情は、酸化ストレスと関連した様々な疾病から体を守る。これは体と心の密接な相互作用を反映している。
[出処]’The effects of brain wave vibration on oxidative stress response and psychological symptoms’, Comprehensive Psychiatry 60, pp.99~104, 2015