今、大きな注目を集めている「筋トレ」。SNSでもその投稿が話題になっている。それだけ支持されるのは、見た目だけでないメリットがあるからだ。
<中略>
「筋トレが自律神経と脳内の内分泌系調節機能に作用する力には、科学的な裏付けがあります。ジョギングやエアロビクスなどでは1時間以上続けないと得られないレベルの活性化が、筋トレではわずか10分程度で起きることがわかっています」
こう話すのは、ボディービルダーとして世界選手権3位になった実績を持つ、東京大学大学院総合文化研究科の石井直方教授(筋生理学)だ。
自律神経への働きから説明しよう。自律神経は内臓や血管の働きをコントロールし、体内環境を整える役割を果たしている。起きているときや緊張しているときに優位になる交感神経と、就寝時やリラックスしているときに優位になる副交感神経がある。自律神経の乱れは、不安やだるさなど、さまざまな不調を引き起こす。
「筋トレによって自律神経のリズムが整い、交感神経と副交感神経がともに活性化すれば、ここぞというシーンで集中力を高め、リラックスしたいときにはくつろぐことができる。そんなメリハリのついた心身の状態が得られるのです」(石井教授)
内分泌系については、成長ホルモンの分泌が活発になることが挙げられる。骨が丈夫になって骨粗しょう症が予防でき、脂質の代謝もよくなりやせやすい体になる。免疫力も上がり、風邪をひきにくくなる。
筋トレは精神の安定にもよく、脳内に分泌されるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの状態を整えることが知られている。筋トレをすることで三つの分泌量が必要に応じて滑らかに流動し、セロトニンを基点としながら、上がったり下がったりする一番いい状態を、保つことができるのだ。
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