ベビーブーム世代のトム・フィンさん(57)は50歳の誕生日を迎えた時、友人とラスベガス旅行に出かけた。ジップラインを滑り降りたり、ナイトクラブに出かけたり、高級カジノホテル、シーザーズパレスのプールサイドでブラックジャックに興じたりと羽目を外して騒いだ。「若き日の大学生活を追体験しようとする男子学生の気分だった」と彼は言う。
一方、X世代(ジェネレーションX、40~55歳)の妻、デビー・フィンさん(50)は節目の誕生日を、ポルトガルとスペインで1日4~6時間のハイキングをして過ごした。「私の望みはハイキングに行くことで、戸外で過ごしたかった」と彼女は言う。「このところ健康にはるかに気を遣うようになった」
X世代は中年が再構築する人生のルールに新たな定義を与えている。「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」の典型とされる、スポーツカーや自慢できる新しい配偶者、一般的な不良行動には見向きもしない。むしろヨガや、静かな場所での瞑想(めいそう)、ケトダイエット(低炭水化物・高脂肪の食事法)が主流となりつつある。
ようこそ、品行方正な「中年の危機」へ。
中年を迎えるX世代の人々は、人生を台無しにするより、それをアップグレードさせたいと考える。