日本から生まれた際に176種類だった絵文字は、現在は3,000種以上のコレクションを誇る。しかし、これまでは学術的な観点から研究されたことはなかった。近年は言語学者などが会議を開催して研究を持ち寄り、絵文字について熱く議論を繰り広げている。いったいどんな議論が交わされているのか。
オハイオ州にあるライト州立大学コンピューター科学の博士課程の学生、サンジャヤ・ウィジェラトネは2年前、研究をしていたときに妙なことに気づいた。
彼は、ストリートギャングのTwitter上のやり取りを調査していた。その際に、ドラッグや金に関するこれ見よがしの連絡に混じって、メンバーが繰り返し「⛽」という絵文字を使ってつぶやいているのに気付いたのだ。
ウィジェラトネがこれまで取り組んでいたのは、コンピューター言語学の一分野だ。単語の複数の意味の解釈の仕方に注目する「語義の曖昧性解消(文中の言葉がどの意味で使われているのかを判別する過程)」に関する別の研究だった。
⛽の使用は、彼の目にまったく新しい問題として飛び込んできた。「ギャングは、ガソリンスタンドにある給油ポンプの絵文字を“マリファナ”の意味で使っていたのです」とウィジェラトネは語る。
「この絵文字に関連づけられた新しい意味を見つけると、すぐに絵文字の意味の曖昧性解消はどうなっているのだろうという疑問が湧きました」
この瞬間がきっかけとなり、ウィジェラトネは博士課程の研究対象を絵文字に変更した。第1回目となる絵文字の学際的な研究会議が、2018年6月25日に彼の呼びかけで開催された。
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