早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する現代。ですが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育をすること。年齢ごとに子どもの脳の発達段階は変わるが、それに合わせて子どもをしつけ、教育すると、子どもの才能は驚異的に伸びる!『子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる!』では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、著者の林成之さんが脳医学の知見からわかりやすく解説。そんな本書の中から、一部を抜粋してお届けします。
<子どもの脳はこうして発達する>
3~7歳の子どもの脳は、不要な細胞を間引き、脳の神経回路のベースをつくっています。実は、7~10歳以降に神経回路をしっかり発達させていくには、この時期の過ごし方がとても重要なのです。
先にご説明したように、脳は活性化させれば優秀になるわけではありません。もっといえば、いくら勉強したところで、勉強量が多ければ頭がよくなるというわけでもありません。
結局のところ脳というのは、その機能を本能や心と共にしっかり働かせることができてこそ優秀な頭脳たりえるのです。そして、脳をしっかり働かせることができるかどうかは、物事の考え方や取り組む姿勢など、日ごろの習慣のよしあしにかかっています。
私は、脳の神経回路のベースがつくられる3~7歳の間は、脳にとって悪い習慣をやめ、よい習慣を身につけるという「脳の基礎づくり」にこそ注力すべきだと考えています。目先の成果にとらわれて、知識をつけさせたり、無理に難しい問題を解かせたりすることはあまり意味がありません。
悪い習慣をやめ、間引きをしっかりと行う。その上でよい習慣を身につけていけば、一生ものの「脳がしっかり働くしくみ」を手に入れたも同然なのですから、長期的な視野に立って育脳に取り組みたいところです。
7~10歳以降の脳は、間引きが完了し、脳神経細胞が樹状突起を発達させて神経回路をどんどん進化させていきます。大人と同様の脳になりますから、ここからはどんどん勉強してよい時期。判断力や記憶力も、急速に高まっていきます。
ただし、7~10歳以降は、同時に自己報酬神経群が発達していくタイミングでもあることに留意する必要があります。自己報酬神経群は、「自分がやってやろうと思ったことを成し遂げること」に喜びを感じるのでしたね。
このため7~10歳以降は、親が「○○しなさい」などと指示をすると非常に嫌がるようになります。先回りして指示されたときの「いまやろうと思っていたのに」という口答えは、子どもだけでなく大人もつい言ってしまいがちなものですが、これは自己報酬神経群の働きが止まると、脳の機能が落ちてしまうからなのです。
いつまで経っても“子ども扱い”を続け、「ああしなさい、こうしなさい」と指示していると、子どもはどんどんやる気をなくし、脳の機能を落としていきます。
親が先回りをやめ、子どもに「自分からやりたいと思い、自分で成し遂げる」という経験を積ませると、子どもは「あのうれしさをまた味わいたい」と思ってやる気を出し、脳がしっかり働くようになります。
「ああしなさい、こうしなさい」と指図するのではなく、子どもが自分から「ああしたい、こうしたい」と口にするようなコミュニケーションが育脳のカギなのです。
子どもの脳の発達過程を知ると、一足飛びに「頭がよい脳」「才能を発揮する脳」をつくることはできないということがよくわかると思います。子どもの成長に合わせて、その時期の脳が伸ばすべき力を知り、適切な目標を設定することが大切なのです。
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