[地球・環境] 世界初、発電ゴム開発 福島大共生システム理工学類の島田教授

福島大共生システム理工学類の島田邦雄教授(53)=専門・流体工学、エネルギー工学=は光と振動により発電し、蓄電機能も有する導電性ゴムの開発に成功した。島田教授によると世界初で、国内特許を出願した。電源が課題となっている未来型ロボットの人工皮膚や、壊れにくい太陽電池の開発などへの応用が見込まれる。既にロボット研究者らが関心を示しており、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想事業への活用も期待される。

 導電性ゴムの性能は【図】の通り。島田教授は2001(平成13)年に磁石を溶かした液体「磁気混合流体」を開発した。今回は磁気混合流体に風船などの原材料となる天然ゴムを混ぜてゴム化した。ゴム化するには硫黄を混ぜ加熱する方法が一般的だが、天然ゴムと磁気混合流体を混ぜ合わせた材料に電気をかけてゴム化した。この手法により電気が非常によく流れる素材の開発に成功した。
 現在の太陽電池は固体でゴムのような伸縮性がなく、衝撃を加えると壊れるのが一般的。導電性ゴムは伸び縮みしながらも光や衝撃に反応して、電気を発生させる。
 2000年にノーベル化学賞を受けた白川英樹博士(筑波大名誉教授)はプラスチックは電気を通さないという従来の常識を覆し、電気が伝わる導電性プラスチックの作製に成功し受賞につながった。島田教授はこの研究成果から発想し、導電性ゴムの開発に取り組んだ。
 島田教授によると、ロボット開発の課題の一つはロボットを動かす電源。導線をロボットに付けたりバッテリーを装着したりする必要がある。導電性ゴムをロボットの皮膚に使用できれば、光や衝撃によって電気を起こすことができ、外部からの導線が不要となる。バッテリーや導線としての機能も持ち、ドローンや自動車、義手、義足などへの活用が期待される。
 島田教授は「この素材は想像していない分野への応用もできるはず。未来への夢が大きく膨らむ開発内容だと思う」と語った。
 島田教授は福島市出身。福島高、東北大大学院工学研究科博士課程修了。

>>続きを読む(2018年03月08日 福島民報)