静岡県は今夏、「富士山のごみ持ち帰りマナー向上キャンペーン」を実施し、8月中旬の10日間でごみの持ち帰りを促す内容を多言語で記したごみ袋計約1万6000枚を登山者に配布した。外国人登山者からは「ごみを持ち帰る文化を初めて知った」などの反応があり、県は「ごみ減少に効果があった」として来夏もキャンペーンを続けたい意向だ。
富士山のごみ処理は条例などによる規制はなく、県は従来「原則持ち帰り」を呼び掛けてきた。だが、昨年のお盆期間に登山道に大量のごみが捨てられているのが見つかった。県の調査では2016年の外国人登山者は全体の8.7%。県は「外国人登山者にごみ持ち帰りの原則が理解されていない可能性がある」として多言語でのごみ袋を作製することを決めた。
今年度予算で登山者から徴収する保全協力金(入山料、原則1人1000円)から約390万円を計上し、「ごみを持ち帰るまでが富士登山」という呼び掛けと下山している登山者のイラストを描いたごみ袋を作製。呼び掛けの文章は英語、中国語、韓国語などの他にインドネシア語やベトナム語など計10カ国の言葉で記した。
ごみ袋は8月10~19日に富士宮、須走、御殿場の3登山口で、大学生や登山ガイドが目的を説明しながら外国人登山者を中心に配布。下山した約150人にアンケートを実施したところ、外国人からは「ごみを持ち帰る習慣を知った」などの意見があった。一方で「ごみ袋は持参するのが登山のルール」との指摘もあったという。
県は例年ごみの量を集計していないため、具体的な数量は不明だが、山小屋関係者からは「今年はごみの量が減った」と好評だったという。ただ、たばこの吸い殻やペットボトルがポイ捨てされているケースは散見されるといい、県自然保護課は「袋の配布場所の再検討やツアー会社との連携を進めるなど、来夏以降も効果的な活動を続けたい」としている。
元記事はこちら