アメリカ国立がん研究所栄養疫学部門のスティーブン・ムーア博士率いる研究チームは、
ライフスタイルと疾患リスクの関連性を調べた6件の大規模研究の
参加者65万人以上から収集されたデータを分析した。
この研究の結果は、論文審査のあるオンライン医療専門誌『PLOSメディシン』に
2013年に掲載され、1日10分早歩きをする人は、
運動習慣のない人に比べて寿命が1.8年長かったこと、
また世界保健機関の推奨する週150分の早歩きによって
4年半も寿命を延ばせることを示した。
20年以上前に公衆衛生局長官によって発表された、
最初の身体活動と健康に関する報告書は、運動の効果を次のようにまとめている。
「(身体活動には)早期死亡リスクと心臓疾患、高血圧、結腸がん、糖尿病のリスクを
低減させるなどの効果がある。また定期的な運動参加は、うつや不安を減らし、
気分を改善し、生涯にわたって日常生活動作の能力を高めるようだ」
報告書は続けて断定する。
「高齢者か若年者かにかかわらず、日常的な身体活動レベルが高い人ほど死亡率が低く、
日常的な身体活動レベルが中程度の人でさえ、レベルが最も低い人に比べて死亡率が低かった」
それ以降、この結論は多くの研究によって確認、補強されている。
たとえば2008年にアメリカ保健福祉省は、長期的研究のメタアナリシスに基づく、
健康的な生活を送るための新しいガイドラインを発表した。13人の識者が10年ぶりに
科学的研究の包括的レビューを行い、こう結論づけている。
「定期的な身体活動には、心臓発作と脳卒中のリスクを20%以上低減させ、
早死にするリスクを下げ、高血圧、2型糖尿病、結腸がん、乳がん、加齢による
骨折、うつ病を予防する効果がある」
(本原稿は書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』からの抜粋です)
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