もともと日本人には大腸がんは少なく、胃がんが多いとされてきました。しかし、戦後は胃がんの死亡率が頭打ちになり、代わりに大腸がんによる死者が増えるという傾向が顕著になりました。
ハワイの日系人を対象にした調査によると、日本からハワイに移住した「日系人一世」は、白人より大腸がんの発生率が低かったといいます。しかし、その子供である二世、三世になると、白人と変わらなかったといいます。これは、二世、三世だと食生活がアメリカ人と同じようなものになるため、日本人の遺伝子を持っていたとしても、大腸がんにかかりやすくなるのだ、と解釈されています。
かつて長寿の県として知られていた沖縄県。1995年には、世界保健機関(WHO)のお墨付きで「世界長寿地域」を宣言したほどでした。実際、このころの沖縄県の人口10万人に対する百寿者数は約22人で、全国平均の4倍強にのぼっていました。
当時の研究者たちは、沖縄の長寿の人たちの食事などの生活習慣を熱心に調査しました。それによると、大半が三食を欠かさない生活をしていたといいます。そして、ふだん食べる食品の種類が平均より多かったそうです。ある研究では、1食あたり平均9品目で、重複を除くと1日に平均18品目だったといいます。とりわけ野菜類がニンジン、ホウレンソウ、ニガウリ、ピーマンなど緑黄色野菜を含めで多品目にわたっていたそうです。
また、大半の百寿者が若いころから「タンパク質、カルシウムが多い豆腐」「繊維、ミネラル、ビタミンを含む芋」「ニガウリなど豊富な野菜類」を欠かしていないことが分かりました。沖縄の伝統的な食生活は、これらの条件にたいへんマッチしているのです。
健康的な食文化を、もう一度見直したものです。