[教育] 2021年春から大学入試が変わる

2021年春入学者から、大学の入学試験が大きく変わります。センター試験がなくなり、その代わりに、全国一斉型の学力試験がスタート。各大学の入試でも自己表現力やディスカッション力が問われるようになりそうです。

■センター試験廃止
2021年改革の最大のポイントは、大学入試センター試験の廃止です。センター試験は、受験生の学力を画一的に評価する方法として1990年から導入されていましたが、「暗記力ばかりが問われ、思考力や判断力、表現力が評価されない」との批判が出ていました。そこで、センター試験を廃止して、マークシート方式によるペーパーテストに過度に依存しない制度をつくることになりました。

■「学力評価テスト」の導入
とはいえ、全国一律の尺度で受験生の基礎学力を評価することも依然として必要であるため、「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」が導入されます。これは、センター試験のような「択一問題」ばかりでなく、「思考力・判断力・表現力」が問われる問題が出題されます。記述式の問題や、多数の正解があり得る問題なども導入される可能性が高いです。
英語科目についても、これまでのセンター試験ではリーディングとリスニングだけが問われていましたが、これに「話す」(スピーキング)と「書く」(ライティング)を加えることが検討されています。

■それぞれの大学の入試
各大学の個別の入学試験も、大きく変わる見通しです。具体的な内容はそれぞれの大学にゆだねられますが、暗記力や計算力よりも「考える力」「表現する力」を問う問題が増えるのは確実です。さらに、グループ・ディスカッションやディベートなどの導入も広がる可能性があります。

新しい入試のベースとなる国の考え方は、最近の学校教育法の改正などで示されています。2007年の同法改正では、教育には「基礎的な知識および技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない」と規定されました。

これは、知識量を問うこれまでの教育を見直し、「知識を活用し自ら課題を解決できる能力」への転換を意味しています。大学の入試でも、このような“解決力”を問う出題がされるようになると見られています。例えば、ある社会現象について「どうしてこうなったのか」という背景や理由を自分なりに書かせるような問題などの出題が考えられます。