[地球・環境]美しい自然を守る意志と行動

2016年主要国首脳会議(サミット)の会場となった三重県の伊勢志摩は、約5万5500ヘクタールの広大なエリアが国立公園として指定されています。

 

伊勢神宮の広大な原生に近い森林、その森林をぐるりと取り巻く海とリアス式海岸など、この地域には美しい自然が広がり、その美しい海から生まれる真珠などとあわせて、日本が世界に誇るべき財産となっています。

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画像出典:http://www.iseshima-kanko.jp

伊勢志摩が国立公園に指定されたのは、1946年11月20日。戦後初めての国立公園指定でした。当時、日本全土に敗戦の傷が残り、国民は貧困から這い上がろうと必死でした。伊勢志摩の人たちは、国立公園の指定を復興のきっかけにしようと考え、政府関係者らに懸命な働きかけを行ったといいます。

 

そのリーダー的存在の一人となったのが、漁師から政治家に転じ、三重県会議員を経て、衆院議員となった石原円吉(1877~1973年)です。石原円吉は、国立公園指定に向けて尽力し、「伊勢志摩国立公園の父」と呼ばれました。指定後は、伊勢志摩国立公園協会の初代会長となり、終生、会長を務めました。

 

石原は晩年、戦後の経済発展に伴い、せっかく国立公園になった伊勢志摩エリアの景観が乱開発によって破壊されることを悲しんでいたといいます。そこで、伊勢志摩の各地を桜で飾り、子供たちに自然保護の心を育ててもらおうと考え、95歳で亡くなるまでの15年間、私財を投じて、サクラの苗木を学校などの公共的な場所に贈り続けました。

 

こうして育った桜は、いつからか石原円吉の名前をとって「円吉桜」と呼ばれるようになり、地元の人たちが今もその遺志を受け継いで、保存活動を行っています。

 

どれだけ恵まれた自然であっても、人間が経済活動をする以上、常に乱開発の脅威にさらされています。自然と資源を守るには、私たち一人一人の強い意志と行動が必要だということを、円吉桜が伝えてくれているようです。

 

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画像出典:http://blogs.yahoo.co.jp/omotenasioosima/25423550.html