[健康]人生100年時代”の健康寿命とテロメア

「人生100年時代」が近づいているとされる今日、私たちの健康寿命のカギを握る存在として注目されているキーワードがあります。それは「テロメア」です。

■テロメアとは
テロメアとは、細胞の中の染色体の端っこに付いている蓋(ふた)のような部分です。染色体を保護する役割を担っています。

テロメアには、細胞が分裂するたびに、サイズが小さくなるという特徴があります。そして、小さくなりすぎると、その細胞は分裂ができなくなります。つまり、細胞が増えなくなってしまいます。これが老化をもたらします。

人間の老化現象も、テロメアの大きさと深い関係があります。がんなどの病気も、テロメアが短くなると発症しやすくなるとされます。近年の研究によって、テロメアは人間の寿命にかかわっていることが明らかになっています

■テロメラーゼの発見
テロメア研究の第一人者であるアメリカの生物学者エリザベス・H・ブラックバーン博士は、テロメアを伸ばす役割を持つ酵素「テロメラーゼ」を発見。2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

その研究では、テロミラーゼはテロメアの中で作り出され、短くなったテロメアを再建していることが分かりました。

こうした近年の研究により、テロメアはひたすら減ることが宿命づけられた存在ではなく、伸ばすことができることが確認されています。

さらに、私たちの生活習慣を改善したり、日々のストレスを減らしたりすることで、テロメラーゼの働きを適度にコントロールし、健康寿命をのばすことができるという見方が有力になっています。

■瞑想
ブラックバーン博士がノーベル賞を受賞した後、テロメアを一般の人たちに広めるために執筆し、世界でベストセラーになった著書『テロメア・エフェクト』。この本では、健康寿命によい影響をもたらす生活習慣の一つとして、瞑想が紹介されています。

「定期的に実践すれば瞑想は、ネガティブな思考パターンを和らげ、まわりの人々とより深くつながるのを助けてくれる」とし、「瞑想がテロメアの伸長を促すという研究結果もあらわれている」としています。(森内薫訳)

専門家たちによって瞑想が推奨されている理由は、ネガティブな考えや感情をポジティブに変えられるからです。瞑想指導者の一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)氏は著書『人生120年の選択』のなかで、「否定的な感情に陥らないためには、何よりも自分を眺め、そのような状態から抜け出せる力を育てなければなりません」とし、「明るい意識」を自分の内側から作り出す方法として、瞑想の実践を勧めています。