[社会・文化]社員と社会の未来を見据えるDeNAの健康経営とは

DeNAで健康経営を始めて約3年。渋谷での活動をきっかけに今では北海道から沖縄まで多くの自治体や企業の方と一緒に、健康経営を普及活性化させる取り組みを行っています。

DeNAにはヘルスケア事業部があり、また複数の子会社が遺伝子検査キット(MYCODE)や健康保険組合向けサービス(KenCom)の支援をしているため、「ヘルスケア事業部の営業活動の一環ですか?」と聞かれたりしますが、健康経営の取り組み自体は会社の利益に直接つながる活動ではありません。

健康経営を推進するCHO室も、世の中の人を健康にしたいという理念ではヘルスケア事業部と同じですが、CHO室の一番の目標は「社員のパフォーマンス向上」であるため、事業の枠を超えたあくまでフラットな立場で、今ベストな施策を行っています。

例えば、腰痛撲滅プロジェクトや睡眠リテラシー向上セミナーや食生活へのアプローチなど。中でもエンジニアを悩ます腰痛にターゲットを絞ったプロジェクトでは、参加した20人のうち85%の社員が生産性低下を軽減できたと自覚するなど、数字としても徐々に効果が出てきています。

こうした取組みがメディアに取り上げられることもあり、なぜ、IT企業という若く元気な人が多そうなDeNAでここまでするのか、ここまでやらせてもらえるのか、と聞かれるようになりました。今回はそれらの疑問に答えていきたいと思います。

個人、社内から日本全体へまず、なぜここまで「やらせて」もらえるのか? DeNAが健康経営を開始したのは2016年ですが、その前段として2015年冬に実施した全社健康アンケートでは、運動(腰痛や肩こりなど)・食事・睡眠・メンタルの4分野だけで、年間推計23.6億円の損失が発生していることがわかりました。さらに眼精疲労、風邪、二日酔い、花粉症といった生産性低下要因も加えるともっと大きな額になると考えられます。

CHO室の仕事は、その損失をゼロに近づけること。社員が健康で元気でいられるようにサポートする取組みは、企業にとって中長期的なメリットをもたらし、ゆくゆくは日本全体の医療費削減にもつながる。「Delight and Impact the World(世界に喜びと驚きを)」をミッションに掲げる企業だからこそ、こうした広い視野で活動を応援してくれるのだと考えています。

次に、なぜここまで「する」のか? それは私自身が健康的な心身を維持できるようになったことで良いことしかなかったこと、また、それをシェアすることで、周りの人たちにもポジティブな影響を与えられるのだと知ったからです。

例えば、「痩せたい」と言っていた社員には、私が過去に読んで15kg痩せた本を紹介し、食生活を整えたことで実際に起きた体の変化について話したところ、そんなに楽しそうならばと同様に実践し、体重が8kgも減りました。さらに、その経験をきっかけに、自主的にメンタルに関する研修を受けたり、運動量を増やしたり、かなり健康への意識が高くなったそうです。

これらは一端でしかないですが、会社のいたるところで、こうした「社員のちょっとした行動変容」を見聞きでき、生産性向上を感じることができるため、CHO室としてはますますやる気が高まります。粘り強く続けることで、小さな事例が積み重なり、社内に前向きな雰囲気が醸成され、雰囲気ももっと明るくなっていくのではと感じています。

だいぶ先の話にはなりますが、今DeNAで働いている人たちが70~80歳になったとき、「健康経営によりヘルスリテラシーが高まったおかげで、元気に生活できているのかもしれないな」と感じてくれる人が一人でもいたらよいなと思ます。
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