[社会・文化]「笑い声」で明るい感情が伝染、ニュージーランドの希少オウム

笑っているような鳴き声の鳥といえばワライカワセミが有名だが、ニュージーランドにすむミヤマオウム(Nestor notabilis)の間では、鳴き声によって明るい感情が伝染するという研究結果が3月20日付の科学誌「Current Biology」に発表された。

このオウムは知能が高く、人間の笑い声のような特徴的な鳴き声を発し、それを聞いた仲間のオウムは明るい気分になるという。哺乳類以外で感情の伝染が確認されたのはこれが初めて。哺乳類では、人間の他にネズミやチンパンジーで感情が伝染することがわかっている。こうした現象は「情動伝染」と呼ばれ、その進化的意義なども研究されている。

「ほとんどの場合、鳴き声が聞こえるとすぐに遊び始めていました。でも既に遊んでいる仲間に加わるのではなく、すぐ隣にいる鳥と遊び出したり、または単独で宙を飛びまわったり、物で遊んだりします」と、シュウィング氏はメール取材に答えた。

つまり、遊びの鳴き声はそれを聞いたオウムを遊びに「誘っている」わけではなく、彼らの感情に影響を与えて楽しい気分にさせるのだろうと考えられる。このことから、ミヤマオウムが他の鳴き声を聞いて楽しい気分になるのは、人間でいえば他人の笑い声につられて可笑しくなるようなことといえる。

マオリ語では「ケア」と呼ばれるミヤマオウム。その保護団体「ケア・コンサベーション・トラスト」の共同創立者兼会長のタムシン・オール・ウォーカー氏も、メールでの取材に応じて次のように語った。「動物の行動を何でも擬人化するべきではありませんが、ケアを研究したり、一緒に暮らしていると、彼らの知能がとても高く、社会的で、仲間と一緒に遊ぶことに喜びを感じる鳥だと誰もが思うでしょう。この点は、人間も含め認知能力の高い動物とよく似ています」

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