[教育] 人生を豊かにするギャップイヤー~日本でも東京大学などで実施

大学の入学前後の1年間を職業体験や留学、ボランティアなどに費やす「ギャップイヤー」が注目されています。見聞を広めて社会で通用する力を養えるとして、日本でも導入する教育機関が出ています。

1960年代にイギリスで始まったギャップイヤーは、米、カナダ、オーストラリアなどの主要な高等教育機関でも採用・推奨されています。

イギリスでは、大学入学資格を得た希望者に対して、大学側が入学までに猶予期間を付与。学生はこの期間にアルバイトなどでお金を稼いだうえで、各地を旅行したり、国内外で就業体験やボランティア活動をしたりするケースが多いといいます。学生の1、2割がギャップイヤーを経験しており、ある調査では、ギャップイヤー経験者のほうが大学をドロップアウトする確率がかなり低くという結果が出ています。

学生を採用する側の企業もギャップイヤーでの経験を重視しており、オーストラリアでは、ギャップイヤー経験者のほうが就職活動で有利との傾向が見られるといいます。

日本では、受験のために浪人するという習慣はあるものの、「中学→高校→大学」という進路を順当に進むのが理想とされ、その間のまとまった1年間に社会経験を積むという発想はありませんでした。むしろ、休学や遊学を空白期間としてマイナスにとらえる風潮が強くありました。

しかし、海外での成果や「逆風に強く、粘りのある人材が欲しい」という産業界の要望を受けて、文部科学省や大学が推進に動き出しています。

東京大学は2013年度から、入学直後に1年間休学し、海外留学や就業体験をする特別休学制度を始めました。「FLY Program(フライ・プログラム)」と呼ばれ、休学中の学費が不要で、活動内容に応じて年間50万円を上限に支給されます。

また、国際教養大学(秋田市)も、9月に入学する「ギャップイヤー入試」を2008年度から導入しています。

ギャップイヤーの間に社会に目を向けることで自分の将来について具体的に考えることができ、大学で何を学ぶべきかも明確になると評価されており、今後も導入する教育機関が増えそうです。