AI時代に人間にしか出せない力とは――『脳教育原論』日本語版、8月25日発売

知識の量やスピードでは、人間はもう人工知能にかないません。それでも人間にしかない力があるとすれば、それは何でしょうか。

一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)が脳教育の哲学・原理・実践を体系的にまとめた公式入門書『脳教育原論』の日本語版が、2026年8月25日(火)に発売されます。紙書籍とKindle版の同時発売です。

脳にある情報が、世界をつくっている

本書は、こんな問いかけから始まります。「今、地球はなぜこれほどまでに平和ではないのでしょうか。その理由は、脳に入っている情報がそれぞれ異なるからかもしれません」。人類が経験してきた数多くの対立も、その根源は人間そのものというより、脳のなかにある情報どうしの衝突にある――著者はそう語ります。

著者はよく、こんな例をあげます。自身がよく滞在するアメリカ・アリゾナ州には、ガラガラヘビが数多く生息しています。もし講演会場にそのガラガラヘビを放したら、人々は慌てて逃げだすでしょう。しかし、その場に集まった人々がヘビ捕りであれば、状況はまったく違います。同じガラガラヘビでも、ある人にとっては恐怖の対象であり、ある人にとっては捕獲の対象になる。脳にどんな情報が入っているかによって、同じものを見ても反応はまるで変わってくるのです。

「現実とは脳が描きだした人生の投影である」――本書を貫く、このシンプルな視点が、脳教育のすべての出発点になっています。

共生知能という答え

知識の蓄積や情報処理のスピードで、人間はもはや人工知能にかないません。それでも人間にしかない力があるとすれば、それは何か。本書が示す答えは「共生知能」です。人間と人間、人間と自然、人間と地球がひとつの共同体であることを自覚し、調和しながら生きていく力――著者は、これをAI時代に人間が必ず取り戻さなければならない本質的な力だと語ります。

著者はかつて、人類が向かうべき新しい人間像として「ホモ・コイグジスタンス(共生する人間)」を提唱しました。AI時代を迎えた今、その精神は共生知能という具体的で実質的な力へと広がっていく必要がある、というのが本書の主張です。教育のあり方についても、知識を土台に人間性を育てる従来の「知徳体」ではなく、身体活動を通して生命力を取り戻し、その土台の上に人間性と知性を育てる「体徳知」への転換を説いています。

脳教育のルーツ、45年の歩み

脳教育は45年前、著者の切実な自己省察から始まりました。「私は何のためにこの世に来たのか」という根源的な問いを重ねるなかで、著者は外部の知識ではなく、脳そのものに内在する力に気づきます。そして、明け方の公園で脳卒中を患った人と出会い、失った感覚を取り戻す手助けをするなかで芽生えた思いが、「人間の脳の価値を1億人に伝える」という誓いへとつながりました。ここから、脳のOS(Brain Operating System, BOS)というコア技術が生まれます。

1990年に韓国脳科学研究院を設立、2003年に脳教育大学院(修士・博士課程)が認可され、2010年に脳教育学士学位課程が開設されたことで、学士・修士・博士を網羅する脳教育の学位制度が世界で初めて完成しました。

本書の第3章では、このBOSの土台になった考え方――心と体はひとつで、切り離せないものだという発想や、「広く人々のためになる」ことを大切にする「弘益人間」の精神――が、やさしい言葉で語られています。健康であること、能力があること、情緒が豊かで調和がとれていること、創造的で霊性を備えていること、良心的であること。この5つを備えた人を育てることが、脳教育の目指すところだといいます。

実践の中核、BOS5段階

第5章「脳教育の方法論」が、本書の実践パートです。BOSは次の5段階で構成されています。

  1. 脳の感覚を目覚めさせる ―― 体と脳が通じあう感覚について解説します。
  2. 脳を柔軟にする ―― 老いない、しなやかな脳の特性を取りあげます。
  3. 脳を浄化する ―― 実在しない記憶や滞った情報の浄化と癒しについて解き明かします。
  4. 脳を統合する ―― 意識と無意識の統合、心と体の関係を掘り下げます。
  5. 脳の主になる ―― 情報処理の主体になるとはどういうことかを示します。

この5段階を貫くのが、仙道由来の修行法「止感・調息・禁触」です。止感は外からの感覚刺激を断って内側の感覚を生かすこと、調息は深く整った呼吸によって心を穏やかにすること、禁触は習慣的な行動から離れることを指し、これらを通して体と脳の本来の感覚を取り戻すプロセスが本書で示されています。

本書はまた、BOSを支える3つの法則も紹介しています。「いつも目覚めている」「グッドニュースがグッドブレインをつくる」「選択すれば成し遂げられる」――この3つを軸に、自分の価値を実現する創造的な人生を生きること。それが、脳教育の目指す生き方だと著者は語ります。

体験を通して変わっていく脳

脳は、頭で理解する対象ではありません。体と心の感覚を目覚めさせる体験を通して、実際に変わっていくダイナミックな有機体です。本書は知識を伝えるだけでなく、体験することの大切さに一貫して重点を置いています。

日ごろ脳教育の実践に触れている方にとっても、一つひとつの動きがどんな原理でつながっているのかを、あらためて言葉で確かめられる1冊になっています。

脳宣言文で締めくくる

本書は「脳宣言文 Brain Declaration」で締めくくられます。

私は、私の脳の主であることを宣言します。
私は、私の脳が無限の可能性と創造的な能力を持っていることを宣言します。
私の脳は、情報や知識を選択する主体であることを宣言します。
私の脳は、人間と地球を愛することを宣言します。
私の脳は、本質的に平和を求めていることを宣言します。

Take back your brain!

書誌情報

  • 書名:脳教育原論
  • 著者:一指 李承憲(イルチ イ・スンホン)
  • 発行:株式会社共生
  • 発売日:2026年8月25日(火)
  • 判型・仕様:四六判/214ページ/並製
  • 価格:紙書籍 1,870円(税込)/Kindle版 1,490円(税込)
  • 購入:Kindle版はこちら(Amazon)/紙書籍はこちら(共生オンラインショップ)

原書『뇌교육 원론』(韓文化マルチメディア)は2010年に韓国で刊行され、2026年に「AI時代、自然知能の回復と啓発」の副題を得て改訂されました。本書は、その改訂版を底本とする初の日本語版です。