私は、ニュージーランドのケリケリにあるアースビレッジの森の中を歩きながら、120歳まで生きると選択しました。「The Way of New Life」と名付けた、その美しい道に、私は120年の人生を象徴する木の階段をつくりました。
その120段の階段は途切れることなく続いており、最初の60段は人生の前半期、後の60段は後半期を意味します。私は、前半期60年は先天運、後半期60年は後天運に該当すると言っています。先天運は天からもらった運で、社会のシステムに大きく左右される運、後天運は自分の選択と努力で創造していける運です。
後天60年を設計するときに必ず念頭に置くべき基本は、自分の健康、幸せ、平和を自給自足するということです。誰かに頼るのではなく、自分の健康と幸せと平和を創造すると決心する必要があります。自分の健康、幸せ、平和を他の人やシステムなどの外部環境に依存した状態で、100歳、120歳まで生きたいと思いますか? それは間違いなく地獄のような日々となり、他の人に面倒をかけるだけです。
多くの人が健康と幸せと平和を自給自足できずに、外部に依存する傾向があります。健康についても、少しでも具合が悪いと薬局や病院を訪れます。もちろん必要なときは、医学の助けを借りなければなりませんが、その医学が筋肉、肺活量、バランス感覚、瞬発力、免疫力のような根本的な健康までは保障してくれません。健康な体力は、誰かが代わりに育ててくれるものではなく、自分の力で育てないといけません。
幸せや平和も同じです。多くの人が幸せと平和を外部に頼って生きていきます。これを所有していたら幸せで、この人が私のそばにいてくれたら幸せだと感じます。そのように依存して暮らしていると、急に環境が変わったときに「幸せは不幸の始まり」になりやすいのです。自分で健康、幸せ、平和を創造する方法に慣れると、私たちは自分の人生の本当の主人になれます。さらには、それを他の人にも分け与えることができます。
健康と幸せと平和を自給自足するためには、体力と心力と脳力を鍛錬する必要があります。体力は、健康で幸せな老年のための礎になります。老年を設計するとき、何をどこから始めればいいか分からなければ、一番に体力を養うことから始めてみましょう。体に力がわくと、自然に意欲もわいてきて、新しいことをやってみたくなったり、よいアイデアがわいてくることもあります。
私は机の前に、ロベール・マルシャンという105歳のフランス 人サイクリストの写真を貼っています。彼は今年、1時間で22キロを完走し、その年齢の世界記録を更新したのですが、彼の有酸素能力(全身持久力)は実年齢より55歳も若い50歳です。彼が本格的にサイクリングを始めたのは、67歳のときでした。だから、始め半分というのだし、遅いと思ったときが一番早いときだ(思い立ったが吉日)という諺は間違いではないのです。
心力は、自分の人生を案内する中心価値があるときに大きくなります。魂と良心に従って言葉と行動を選択し、自分の内にある肯定的な人格的資質を完全に現すために努力し、成熟した大人の情緒を備えた状態です。体力と同じように心の力も使えば使うほど大きくなります。人間関係を通して訓練すれば、包容力、思いやり、理解、寛容、配慮の心を使える心力が育ちます。
脳力の核心は創造力です。知識が多いからといって脳力が強いのではありません。脳力は洞察力と知恵を活用し、自分と世界に役立つ何かを創造できる力です。愛情をもって自分自身と周囲を注意深く見てみると、なおすこと、改善すること、必要なことなどのアイデアが浮かんでくるものです。このアイデアを意志と集中力によって実行に移すと、それが創造につながります。
もう一度、強調します。健康は決してスペシャリストや社会福祉制度や医療システムが解決してはくれません。私たち一人ひとりが自分の人生のあるじになり、自分の健康を守り、さらには家族や社会の健康を守らなければなりません。自分で健康を守り、生活の質(QOL)を高めるとき、それが自分の属する家庭、社会、地球全体に広がり、より健康で幸せな世界づくりに役立ちます。私の健康と幸せと平和は、私が責任をもつ。これが120年の人生哲学の基本中の基本です。
一指李承憲(イルチ イ・スンホン)
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