[社会・文化] ファッションで難民を救う、23歳デザイナーの挑戦

そのとき大学3年生だったアンジェラ・ルナは、アパートの自室でFacebookをみていた。特に目的もなくスクロールを続けるうちに、ふと1枚の写真に目が留まる。世界が衝撃を受けた、シリア移民の3歳児が溺死した写真だった。

反射的に「何かしなくては」と思ったのだという。しかし、ルナが通っていたのはファッションの名門・パーソンズ美術大学。オートクチュールを3年間学び、卒業を前にアバクロンビー&フィッチからのジョブオファーも受けていた。

自分がもっているスキルで何かできないか。ファッション業界でこの問題に対してアクションを起こしている人を探してみたが、みつからない。世界で起きていることと自分が学んでいることの間に、大きなギャップを感じたという。

専攻を変えるべきかと頭を抱えたルナは、卒業制作を見てくれていた教授に相談する。その教授の言葉が、いまのルナの原点となった。「もしいまのファッション産業に不満があるなら、ここにとどまるべき。この産業にいれば、あなたの力で産業を変えられるんだから」

ルナはきらびやかな高級ファッションの世界に背を向け、卒論のテーマを「難民の問題解決のための衣服」に変える。

難民キャンプに住みながら働いていたヴォランティアなどにインタヴューして回り、アイデアを練った。自ら難民キャンプを訪問する方法も探し続けたが、卒業制作には間に合わなかったという。「卒業後にようやくギリシャとトルコの難民キャンプを訪れる機会を得て、自分のアイデアを試すことができました」と、ルナは言う。

完成したのは、「テントに変わるジャケット」や「高反射するジャケット」、「寝袋になるジャケット」など、7つのデザインだ。

>>続きを読む(2018年03月16日 WIRED)