[教育] 脳の環境適応に応じた脳科学英語学習Fast ForWord

脳科学から見た英語学習の秘密

「母国語に慣れている私たちの脳は、母国語をよく受け入れるために意図的に外国語(英語)の音を遮断するようになります。外国語(英語)を習うためには、まず遮断されている英語の音を受け入れるように、脳の音処理の過程を訓練しないといけません」
-米・ラッカス大学 ポーラ・トロール博士

#1 脳の可塑性が言語学習に与える影響

ポーラ・トロール博士の、短い文章を理解するための面白い実験があります。シェフィールド大学のオリバー・ラスカリス、ロンドン大学のミシェル・ド・ハンの研究によると、6か月未満の赤ちゃんは、すべての動物の顔を区別する能力がとても高く、大人も見分けられないサルの顔まで区別できるそうです。でも、生後6か月を過ぎるとサルの顔を区別する能力がだんだんなくなり、代わりに人の顔を区別する能力を発達させるそうです。

わずか6か月で、赤ちゃんはサルの顔を区別する能力が自分の人生にあまり役に立たないという事実を本能的に分かったからです。サルの顔を区別する能力を除去する代わりにお母さん、お父さん、おばさんの顔を区別する能力がより重要だという事実を体得し、赤ちゃんの脳はサルの顔の区別を担当するシナプスを取り除き、人間の顔の記憶と区別を担当するシナプスを増殖して、強化するのです。

幼児のサルの顔の識別能力のような脳環境の適応実験は、言語をどのように習得するかに対する研究にも見られます。ワシントン大学で脳科学を研究するパトリシア・クールの有名な実験があります。日本の赤ん坊を対象に行った実験の結果、生後10か月未満の赤ちゃんの場合、英語の「L」と「R」の音を確実に区別できるということを発見しました。

でも、10か月くらいから「L」と「R」の音に差があるという点を分かる能力がだんだんなくなりました。原因は、サルの顔を区別する能力が成長するにつれてなくなるのと同じで、脳の環境適応のせいです。母国語は「L」と「R」の初声によって意味が変わる単語がないので、子供は「L」と「R」の音の区分能力はあまり重要ではないと判断し、その能力を担当するシナプスの連結を除去したわけです。

しかし、英語を習わないといけない状況になると話が変わります。母国語をよく習うために環境に適応する、とても効果的に作動する脳の装置は、外国語である英語の学習では逆に障害物になります。環境適応の過程で、もう除去された特定の英語の音の区別を担当しているシナプスの連結を再び復旧しないといけないからです。当然、とても多くの意図的な努力が必要です。

脳の環境適応の過程は素晴らしく、神秘的です。必要な能力はさらに強化し、不必要なことなどは減らしたり、除去したりする方法で効率を最大に高めます。前述の通り、私たちが英語の音を正しく区別できなかったり、英語の本を読むのが難しいのも、私たちの言葉の環境ではとても自然なことです。
英語を使わなくても不便ではない環境で育つ子供たちの賢い脳は、親の意志とは異なり、英語の音処理能力と英語の読書能力を担当する連結を無駄だと判断して取り除いてしまいました。その代りに国語に係わる、より力強い連結を準備したのです。

#2 脳科学にもとづく英語学習 Fast ForWord

Fast ForWord プログラムは、脳の可塑性の原理で開発された、脳科学にもとづく脳言語学習プログラムとして知られています。第2のノーベル賞と呼ばれるカブリ賞の2016年受賞者であるマイケル・メルゼニッチ博士や、ポーラ・トロール博士などの脳科学者、言語学者が開発に参加し、脳の言語習得経路と環境適応、学習過程に関する研究をもとに開発されました。

私たちのように、英語が母国語ではない状況では、特に「不必要だと判断して意図的に遮断した英語の音を区別して、国語の語順に慣れた読解過程を英語の語順に適応するように」助ける核心的な役目をしています。脳の環境適応の研究結果に基づいて考案された Fast ForWordの多くの訓練の中で、「音価」訓練の科学的な進行過程を例に見てみましょう。

単語の中にあるとよく区別できない、b、d、g の3つの「音素」を正確に区別する学習を例に挙げてみると、ba、da、gaの3つの音素が発音される時間は、合計250ms(ミリセカンド、1000分の 1秒)です。 各音素のスペクトラムをよく見ると、3つの音素の音の差を区別するのは、全体250ms のうち40msに過ぎません。残りの時間は同じ形態を見せています。

そのうえ、3つの音素のスペクトラムの差も非常にわずかです。音素間の差を区別する時間は、わずか 40msで、この時間内に各音を正確に区別できてこそ、英語をまともに聞いて、処理し、読めます。母国語が英語の学習者(A)と比べると、私たちのように外国語として英語を学ぶ学習者(B)は、各音素の音価を正確に区別しにくいです。各音素の境界線にある音が重なって聞こえることがあるからです。

Fast ForWordは重なって聞こえる音素を、確実に区別ができるように、まず、40msの初音を 80ms 程度で十分に長くして音を区別しやすいように科学的に処理します。引き続き学習していくと、長くした音の長さをだんだん短くして、最終的に自然な音の状態になるようにします。このようにする理由は、各音素が脳に 「刻印(ingrain)」されるようにして、騷がしい騒音の中、または音価が似ていて混同しやすい音素も、簡単に区別するように助けることが目的です。

各段階は、学習者の学習水準に合わせてリアルタイムで調整されます。個別の音素を音価レベルで学んだ後、フォニックス(つづりと発音の関係の規則性)と語彙の訓練を経て、リスニングの理解力まで訓練します。リスニングがある程度完成すると、読解に進みます。語彙増強、作文、文法などを学び、高い段階まで発展すれば、比喩や類推、穴埋め、並べ替えなどの上級読解まで学ぶようになります。

現在、Fast ForWordは、ハーバード、スタンフォードなど最高水準の教授陣による数百本の研究結果、80以上の特許技術を取り揃えて、現在 300万人を越える学習者を保有しているほど、脳科学研究にもとづく英語学習として特別な位置を占めています。